ヒツジ百貨店 | 食パン的美しさ

Cellerini

こんにちは。
ヒツジです。

年末は一年を振り返っているとどうしても思うところがあり、ついヒトリゴトの記事に偏ってしまいました。
モノの紹介をして欲しいと思っている方には申し訳ありませんでした。
手持ちのアイテムはまだまだ紹介しきれていませんので、今月はなるべくモノ中心の記事を書きたいと思います。


今日ご紹介するのはフィレンツェに佇む街のカバン屋でありながら、貴族・セレブ御用達の知る人ぞ知るCellerini(チェッレリーニ)です。

チェッレリーニは1956年に、カバン職人のシルバーノ・チェッレリーニと妻のアンナ・マリアが立ち上げたお店です。
元々はカバン修理屋だったそうですが、シルバーノの確かな腕が多くの人に認められカバンを作るようになりました。
あのエルメスが唯一認めた職人という逸話もあります。

わたくしはチェッレリーニが好きでカバンだの小物だのいくつか持っているのですが、その中でも初めて購入したブリーフケースがこちらです。

284.jpg


これは社会人2年目から使っているので、もう7年ぐらいになるのかな。
最近は荷物が少ないので通勤時はクラッチバックだったり大きめのポーチだったりするのですが、購入直後から数年間はこれのみ使っておりました。
雨の日も晴れの日も使っておりましたので、表面には傷も目立ちます。
でもそれが新品時よりも良い表情になっている感じがします。

革は主にドイツのワインハイマーやフランスのデュプイから調達しているようです。
ライニングは基本的に豚革を使うのですが、この豚革がまた良い。
毛穴が目立たなく、軽い。
どうやらイタリアには豚革が有名なタンナーがあるらしく、きっとそこの革でしょう。
日本だと豚革って牛革や羊革より劣るイメージがあると思いますが、ここの豚革はワインハイマーやデュプイにも引けを取らないと思います。

店内に置いてある商品をそのまま買うことももちろん出来ますが、もともとオーダーがメインだったのでしょう。
店内には革サンプルがあり、この形でこの革で、といったようにオーダーができます。
しかも価格は既製品と変わりません。
また、オーダーをする際にはかなり融通を聞いてくれます。
例えば、こちらが指定したサイズで作ってくれたり、通常扱っていない革もリクエストすれば取り寄せてくれます。
ダブルコンパートメントをシングルにしたり、ショルダーストラップが不要であれば金具をつけない(これを指定するとその分価格が安くなりました)などなど。

対応もとても丁寧ですね。
メールを送ると必ず24時間以内に返信があります。
「こういうカバンが欲しい」と伝えると店内にある既製品の写真を送ってくれたり、流れによっては革サンプルを日本まで送ってくれたりします。(これはさすがに申し訳ないので遠慮しましたが)

カバンの作りはといいますと、まあ完璧です。
縫いはマシンとハンドの両方でやるそうです。
テンションのかかる部分は強度を増すためにハンドで行い、単に縫い合わせなどはマシンでしょう。
適材適所といった感じです。
一度、モラビトでオールハンドで作ったブリーフケースを見たことがあります。
確かに素晴らしいオーラでしたが、あれに120万は出せないなと。
あそこまで行くと道具ではなく芸術品ですね。

コバ塗りもとても丁寧です。
作りの丁寧さって商品に如実に出ますよね。
日本のメーカーでも同じ革を使ったカバンや革小物も出ているようですが、面構えが全く違う。
良い革を使っているのにボール紙っぽい芯が入っているカバンとか見ると、革の無駄使いと思ってしまいます。


カバンの作りも重要ですが、チェッレリーニが一番こだわっているのは使いやすさだと思います。
カバンの使いやすいさって何でしょう。
軽さ、サイズ、開閉のストレス、ポケットなどなど。
このブリーフケースはまずとても軽いです。
サイズは標準的でしょう。
フラップを開けると書類用のマチ無しポケットがあります。
好きなのがフラップの金具で、開閉時にストレスが全くない。
ひっかかりがないんです。
これは地味かもしれないけどありがたい。
あとは雨に強いのも良いですね。
型押しのせいか、表面に水分がついても中には染みこみません。
一時期雨用として使っていたぐらいです。


日本ではセレクトショップや百貨店で少しだけ取り扱っているようですが、簡単には手が出ない価格です。
なのでフィレンツェに行った際に買うのがベストです。
痛んだらフィレンツェに持っていけば修理してくれるでしょうし、アフターメンテナンスも問題ないでしょう。

シルバーノさんはもう高齢なので主に職人の指導にあたっているようです。
娘のアレッサンドラさんと旦那のアレッサンドロさんがお店を運営しております。
小さい工房なので職人不足という噂も聞きますが、シルバーノの精神が途切れることなく続くことを心から願います。

道具としての天命をまっとうさせてあげることが最大の敬意です。

286.jpg


それではまた!

Posted by ヒツジ

4 Comments

Aya says..."エルメスとの違い"
こんにちは。
チェレリーニでバッグのオーダーをしようと思っていろいろ調べているうちに、こちらのブログに辿り着きました。
エルメスのヴィクトリアを使いたいと思いましたが、価格が高すぎるので、チェレリーニで似たものをオーダーしようと思います。
この工房には他にもエルメスに似たものが沢山ありますが、実際にお使いになって、あからさまなコピー品に見られたり、エルメスと比べて質がやっぱり劣ると感じたりなさることはありますか?

当方、今から20年前にフィレンツェで実物のバッグをウインドウで見ただけです。

革の質は良さそうですが、エルメスと
値段があまりにも違うので、ここのバッグをどのような位置づけで見たらいいものかと悩んでいます。

ご意見をお聞かせ下さい。
2014.07.10 05:03 | URL | #yip2wfqQ [edit]
ヒツジ says..."Re: エルメスとの違い"
Aya 様


こんにちは。
メールありがとうございます。

チェッレリーニでオーダーをお考えとのことですね。
エルメスといえば女性の憧れですが、非常に高価なのが難点です。
心中お察し致します。

おっしゃる通り、チェッレリーニの鞄はエルメスと同じデザインのものがあります。
他にもエルメスと同じデザインの鞄を作っているメーカーがあっても良さそうなものですが、わたくしは見たことがありません。
創業者であるシルバーノ・チェッレリーニはエルメスから唯一認められた職人ですとか、かつてはエルメスのベルトを作っていたという噂があります。
もしかしたら何かしら繋がりがあるのかもしれませんね。

個人的にはエルメスはエルメスであることに価値があり、チェッレリーニはエルメスでないことに価値があると思っております。
Aya様がエルメスのヴィクトリアをお使いになりたいとお考えになったのは、エルメスを持ちたいからですか?
それともデザインやサイズ、使い勝手、質の良い鞄で考えた時にヴィクトリアにたどり着いたのですか?

もし前者であるのでしたら、チェッレリーニで同じデザインのものをオーダーしても意味がないように思います。
後者でしたら、是非オーダーしていただきたく思います。

わたくしはエルメスではあまり見られないデザインの鞄を使うことが多いのですが、それでもサックアデペッシュタイプを使っていたことがあります。
周りからはコピー品に見られたことはありませんし、褒めていただけることの方が多かったです。
ブランド物しか知らない人からは、「粋」に感じると言われたこともあります。
カーフに限った話ですが、エルメスに比べて革質、作りと共に劣っていると感じたことはありません。
世界中のVIPを顧客に持っていることから、品質は折り紙付きでしょう。
彼らは決してエルメスが買えないからチェッレリーニを買うのではありませんし、エルメスの代わりとして持つことは、両方に対して失礼に当たる気がします。


わたくしはブランドが好きではありませんが、エルメスは1メーカーとして尊敬しております。
しかしエルメスを持つことに特に憧れを感じませんし、あまり人と被るのも好きではありませんのでもし同じ金額だとしてもチェッレリーニを選ぶでしょう。

個人的には、融通を聞いていただけるのも嬉しいところです。
鞄オーダーにあたり、サイズやハンドルの長さ、ステッチの色、金具の色などの変更が可能です。
また、ウェブサイトに掲載されていない革もリクエストをすれば探してくれますし、革サンプルを送ってくれたりもします。


長くなってしまいましたが、エルメスもチェッレリーニも世界最高峰の鞄であることに間違いはありません。
甲乙付けがたい品質の中で、10倍ほども違うお金をエルメスという名前のために使えるかどうか。
さらに、商品を買うことはメーカーの活動を支援することにつながります。
どちらに永く活動をしてもらいたいかというのも一つポイントになるかもしれません。

永く使いたくなる商品に出会えると良いですね。
2014.07.10 21:28 | URL | #- [edit]
aya says..."御回答ありがとうございました"
ひつじ様

丁寧な御回答ありがとうございました。

ブランド好きについての考察も拝読いたしましたが、その通りと思われることが多くありました。

それでも、日本のユーザーは多様化していて成熟している方なのかもしれない、と感じます。例えば、

チェレリーニのエルメス風鞄が「粋」だと言った人の話。

私もブランドもので羨ましいと思われたいというよりは質の良いものを知りたいし持ちたいという気持ちで物を選んできたつもりですが、自分で理解していても他の理解者と出会うことがないと、これでいいか、もう長いものに巻かれた方が楽か、とふとくじけそうになります(笑)。

数年前から暮らしている街はフィレンツェにもパリにも飛行機で一時間くらいで行けるのですが、高級時計宝飾品のメッカであると同時に
金融業が主幹産業のため世界中から成金が集まってくる場所で、狭い街中でのバーキン、マトラッセ、ヴィトン各種の遭遇率は世界一だと思います。エルメスの不当な値上げもどうということがない人々。これをセレブというならそういうことなんでしょう。

金融商品そのもの、高そうな格好だけれどもセンスを感じることは稀です。派手好き浪費好きの大金持ちは周りに一杯いますが、残念ながらまだハイセンスでお手本になるような人が近くにいないので、疎外感だけが結構強いです。

そういう時にどうやって自分のセンスを磨いて勝負していくか、、、

チェレリーニは日本でとても良い受け入れられ方をしていて、それはチェレリーニだけではないと思いますが、それは結局私にとっては日本が培った眼とセンスを信じるのかどうかという問題になっています。

遠くからですが、これからもひつじ様の「もの物語」楽しみにいたします。







2014.07.11 20:00 | URL | #- [edit]
ヒツジ says..."Re: 御回答ありがとうございました"
Aya 様


御返事ありがとうございます。
そういう環境にいらっしゃる方とは知らず、自分の尺度でお答えしてしまったことをお許しください。

おっしゃる通り、チェッレリーニなどの職人の物作りに対してはここ数年のうちに大分市民権を得たと感じております。
フィレンツェを中心に、世界中の工房で働く日本人が独立し、クローズアップされたことが背景にあると思います。

周りに理解者がいない状況・・・それはくじけそうになるのも共感できます(笑)
本日、電車内にて40才前後の女性がヴィトンについて話しておりました。
ブランド好きそうな感じではなかったのですが、付き合いのある方々がこぞってヴィトンを持っているため、自分も持った方が良いかも、という話でした。
人付き合いのためのツールとしてのブランド物という考えもあるのですね。
これは盲点でした。
Aya様がそのためにエルメスを選ばれるのでしたら賛成です。
質の良いものを持ちたいとお伺いできて安心しました。

わたくしのような一般人の意見に耳を傾けてくださり、ありがとうございました。
物を選ぶ際の一つの指標になれるよう、もの物語を続けていきたいと思います。
2014.07.11 23:01 | URL | #- [edit]

Leave a reply






管理者にだけ表示を許可する

Trackbacks

trackbackURL:http://hitsujihyakka.com/tb.php/91-e23f5b4f
google-site-verification: google4ec9ce459aaf71f7.html